Aisa Wide Communications
◆エイジアンブルー・浮島丸サコン◆
ストーリー

 京都の大学で歴史を教えている林安生が課題にしたリポートのテーマは、「建都1200年にあたり戦後50年を考える」だった。林の目に、西原優子の「浮島丸事件」をとりあげたリポートがとまったが、実際にそれを書いたのが優子の姉・律子であることを知り、姉妹の家を訪ねる。在日二世として「浮島丸事件」に関心をもっていた林だが、リポートに引用されていた詩人・高沢伯雲の手記の存在は知らなかったのだ。律子の話を聞いて林はおどろく。戦後二冊の詩集を残して消えた反戦詩人・伯雲は二人の父であり、しかも優子がまだ二歳のとき家族を捨てたまま今も音信不通とのことだった。

  林は伯雲の命を救った朝鮮人・大林に亡夫の面影を重ねて、二人を伯雲の足跡をたどるあおもり・下北半島への旅に誘う。かつて朝鮮人との恋に破れ、父の思い出を断ち切って生きてきた律子は誘いを断るが、優子の「二つの時に分かれ、顔も記憶もないお父さんに会いたい」という言葉に心を動かされる。

  林と律子・優子の三人は、下北で伯雲に世話になったという安田正義を訪ねる。慶尚北道の農村から伯父の安仁幸とともに強制連行され、本州最北の地で厳しい労働を強制された安田は、三人に当時の体験を語り聞かせた。戦時中、下北だけで四、五千人日本中では二百万人もの朝鮮人が連れて来られていた。

 正義は、態度が悪いとタコ部屋(飯場)をとりしきる棒頭・伝次らにさんざんな目に会わされる。連行された朝鮮人たちはみな同じ様な非人間的な扱いを受けた。それを励まし続けたのが石川弘志こと高沢伯雲で、彼自身も徴兵逃れの身であった。また、十数年前に韓国併合後の土地政策により家が没落し、日本に渡ってきた大林とおかみさんは、朝鮮人労働者の班長として、仲間を苦難から救おうとしていた。

本土決戦に備えた鉄道や随道工事、港湾荷役は日に日に厳しくなり、厳寒の風土の中で多くの労働者が命を落としていく。仁幸も帰らぬ人となり、雪原に葬られる。ある日、作業中の事故で凍える海に落ちた伯雲を、大林はためらいもせず海に飛び込み助ける。大林と伯雲の間の友情は深まっていく。

  日本の敗色が濃くなる1945年6月、秋田・花岡鉱山で中国人労働者が蜂起し数百人が殺された。伯雲たちのタコ部屋でも食事の改善を求め、日本人と朝鮮人が一致、暴動が起きた。伯雲と大林は抵抗の首謀者として憲兵隊にとらわれ拷問を受ける。正義は、そのスキをぬって逃亡。逃亡の果てに浜で倒れた。彼を助けた涌井タマは「死のうなんて思うな、どの親も子どものことを忘れるときない」と励ました。タマの言葉にオモニの顔がうかんだ。

それから間もなく日本の敗戦が伝わる。解放された朝鮮人たちの「マンセー!」の声が、タコ部屋に、町に響きわたった。喜びに沸く朝鮮人たちに「釜山への引き揚げ船・浮島丸が出る。これを逃すと次の便がない。早く大湊の菊池桟橋へ」と伝えられる。故国への想いを胸に各地から朝鮮人たちが港に集まるころ、軍施設では機密資料の焼却処分が行われていた。そしてどこからか、「船は朝鮮に行かない。安全も保障されていない」といった噂が流れていた。出港の日、8月22日。伯雲は大林に会うため桟橋に走る。伯雲の説得も空しく、大林の家族は船に向かう人波に消えていった。

  安田の話に心をうたれた優子を、安田の息子・信義と友人の田丸誠が見守る。かたくなだった律子の心にも林の思いがかよいはじめた。下北をあとにした五人は、伯雲の跡を追って弘前そして出雲崎へと車を走らせる。しかし、現在の伯雲の消息はつかめなかった。

  そして、夏。伯雲が舞鶴にいるとの知らせを聞いて三人は出発する。日本海をみおろす灯台に伯雲はいた。二人の娘と再会した伯雲の口から、浮島丸が沈んだ舞鶴でのできごとが語られる。50年の歳月を経ていまだ港に辿りつけない浮島丸のように伯雲の旅は続いていた。

  いま、林と律子、優子も新しい一歩をふみだそうとしている。優子は京都市民が平和への願いを込めて企画した「白い大文字」に参加した。青森から信義と誠もやってきた。それを遠くに見ながら林と律子は二人の未来を語り合っていた。国や民族の不幸な関係を変えていくのは、ひとり一人の人間としての愛を確かめることからだと・・・。


1995年作品/カラー(一部白黒)/111分/VHS・DVD
劇映画
個人用 ¥10,000(税抜)+消費税 *VHS/DVD同価格
*VHSのみハングル字幕スーパー入・英語字幕スーパー入もございます。
学校・図書館用は
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